日本上陸10年、ナイキを脅かす「On」の足音
日経に気になる記事がありました。Onのスニーカーは恥ずかしながら知りませんでした。以下、日経記事抜粋。
今年、開業したばかりの野球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」を核とした複合施設、北海道ボールパークFビレッジで取材したときのこと。スタッフの足元を見ると、全員が同じブランドのスニーカーだった。スイス発の「On」(オン)じゃないか。
Fビレッジの運営会社のファイターズスポーツ&エンターテイメントがパートナーシップを結んでいるためで、施設内にはオンの名を冠したランニングコースがあり、大会も開かれる。契約の主な理由の一つが履き心地の良さ。同社の前沢賢取締役は「靴というよりも靴下の感覚」と評する。
オンはスイスで創業し、日本への上陸は10年前の2013年だった。専門商社が国内販売を打ち切ると聞き、駒田博紀氏(現在のオン・ジャパン代表)がスイス本社と交渉し、日本法人を立ち上げた。レッドオーシャンの市場ではブランド認知の向上が欠かせないが、新興企業に潤沢な予算はない。同時に、明確なブランドアイデンティティーが伝わらない限り、成長は持続できない。
オンは「クラウドテック」と呼ばれる地面に着地したときの衝撃を緩和する靴底の特許技術と、近未来的なデザインが特徴だ。パフォーマンスを効果的に高めることを狙った設計で、ランニングやテニスなどのコアファンにマーケティングポイントを置く。販売スタイルも「布教活動」に近い。オン独自の価値を伝えるチームで、地道に大小のスポーツ店を回るローラー作戦を展開する。
もっともコロナ禍は危機だった。日本ではネット販売が弱く、20年は大幅な減収に直面。他メーカーは営業を自粛していたが、オンは訪問をやめなかった。店近くの駐車場に車を回して、店員らに靴を渡して外で走ってもらうなど、価値の体験を粘り強く提供した。
21年から販売は回復し、22年に人気モデルを投入すると、需要が急増。同年4月にはアジア初の直営店を東京・表参道に開いた。来店客が店内で数歩走るだけで、走行サイクルを解析し、最適なシューズを提案する。
ナイキやニューバランス、アシックスなど有名ブランドが乱立するレッドオーシャンの市場に参入し、地道な販売活動とブランド価値の認知に勤めた結果を考えるとき、経営の本質を見たような気が致しました。弊社も電気工事という領域で顧客の要望を感じ取り、地道に技術の開発と蓄積に努め、マーケティング・販売活動を通じて会社の認知に努めていきたいと改めて考えさせられました。