「社員一丸」なら若手やめず

多くの企業が社員の退職に頭を悩ませるなか、一部の中小企業は独自の工夫で社員の離職を防いでいる。樹脂部品を開発する陽和(北九州市)は過去26年間で、新卒採用で入った社員の離職を2人に抑えた。若手や中堅社員は「自分の成長を実感できる仕事の進め方」「社員一丸で課題と向き合う社風」を〝やめない〟理由に挙げる。と日経記事にあります。

陽和は1999~2025年に大卒や高卒を中心に29人を新卒採用し今も27人が働く。離職率は単純計算で6.9%。130人超の中小で「やめない経営」を実践する。越出理隆社長は約20年前に「1人の社員が1週間休んだとき、生産ラインを止めた経験が転機になった」と振り返る。熟練者に一部の業務を頼っていたため、代役を果たす社員がいなかった。

数年かけて業務別の手順書を一つずつ作成し、生産などの現場作業は動画を共有した。「カンやコツと呼ばれるポイントをなるべく数値化して説明し、社員が互いの仕事をカバーしあえる職場に改めた」(越出氏)。社員が自分の望む時期に気兼ねなく休めるようになり、有給休暇や育児休暇の取得率は90%を超える。越出氏は休みやすい職場が離職率を抑える最初の一歩とみる。

その上で入社5年目の上杉玲央さんは「答えを自分で考えるよう、先輩が若手を導く」と指摘する。陽和では若手が困難にぶつかると、先輩が解決策ではなく、うまくいかない原因を伝える。上杉氏は「解決策を考えて正解に近づくと成長を実感する。複数の先輩が業務に通じているため、相談はしやすい。特定の先輩が忙しいから相談できないといったストレスもない」と話す。

22年目の前田康太課長は入社当時と現在を比較して「改善活動がしやすくなった」と語る。数年前、残業時間が月40時間を超える状況が続き、工場内の不満が高まった。残業を減らすため、原因となる作業を機械で自動化することにした。その際、どんな自動化装置が使いやすいか、生産と開発のチームが繰り返し話し合い、装置に反映した。導入後、残業は月10時間に減った。前田氏は「社員が一丸となり装置を完成させ、達成感があった。風通しのよい職場でなければ難しかった」と強調する。

弊社は20代・30代の社員が圧倒的に多いのですが、社員間での風通しのよさが定着率を高めている実感があります。また、社員数も50名と年々多くなってきていますので、休みも取りやすい環境にあると思います。若手の定着率と共に、40代・50代の中堅社員も大切にしていきたいと考えております。