トヨタ「脱売り切り」加速

トヨタ自動車はアジアや中南米で自動車の無料保証サービスを広げる。点検を受けた車が一定期間内に不具合があった際に無料で修理する。欧州で導入した仕組みを2025年秋までにアジアや中南米など5地域に拡大。新興国でも自動車の売り切りビジネスからの脱却を進め、成長市場の顧客をつなぎ留める。トヨタは主力の米国や中国、日本以外の地域も事業を伸ばす「全方位戦略」を掲げている。新興国でも無料保証の提供で、販売店に定期的な来店を促し、部品補修や補給部品の購入といった「車の周辺」ビジネスの拡大につなげる。割安な地場の独立系整備工場に顧客が流れるのを防ぐ。と日経記事にあります。
無料保証サービス「SAWA(サワ)」を新興国で展開する。「Service Activate Warranty」の略称で、トヨタの販売店に一定の頻度で訪れると、次の点検時期までなどの期限つきの延長保証を付けられる。欧州で20年に始め、年1回の来店ごとに1年間または1万5000キロの保証を付与している。一般的に新車購入から3年間はメーカー保証が付き、自然に発生した故障を無料で修理している。その後は有料で延長保証を結ぶことが多い。欧州のSAWAは車齢10年まで無料で保証を受けられる。トヨタの販売店に入庫すれば保証される。SAWAの提供を東アジア、東南アジア、中南米、中国、オセアニアの5地域でも始めた。日本や米国は別の保証サービスを展開している。SAWAは提供拡大に伴い地域ごとに道路状況の特性を踏まえて仕組みを変えている。台湾は道路環境が欧州より悪いため、半年ごとの定期点検で半年分の保証を付与。地域ごとにトヨタ本体と現地法人の現場で最適な保証方法を検討する。

多くの完成車メーカーは新車販売で大半の利益を稼ぐため、半導体など部品供給が滞って新車がつくれなくなると、売上高が急減する。外部環境に左右されにくい販売後の車でもうけるビジネスモデルの構築が急務だ。トヨタは販売後のビジネスを「バリューチェーン戦略」として力を入れ、関連の営業利益は2兆円程度に増えた。「我々の強みである保有台数1.5億台の価値をさらに高める」(トヨタの宮崎洋一副社長)考えだ。トヨタは新興国での販売が増えている。中東やアフリカ、中国を除くアジアなど新興国地域では25年4~9月に138万台超を販売し、16年同期から12%増加した。日本市場が縮小傾向にあるなかで、今後のさらなる成長も期待されている。
販売店で点検を定期的に行うことで、車に蓄積したデータも大量に収集できる。国ごとに道路環境や車の所有方法が異なるなか、データを定期的に見ることで、国や地域に合った新型車やサービスの開発が可能になる。たとえば、東南アジアの市街地から離れた集落向けには、車の所有者がディーラーに来店しづらいことを踏まえて、補給部品を自宅まで配送する「モバイルサービス」を展開している。トヨタの担当者は「各地域の顧客に最適な施策を地域主体で考える」と話す。将来はソフトウエアを追加・更新する「ソフトウエア定義車両(SDV)」の普及によって、バリューチェーン収益はさらに拡大する見通しだ。ハード・ソフトの両面から売り切りに頼らない基盤を固める。

なんだかんだで、やっぱりトヨタ株なのかなー、と考えさせられる記事でした。