スペイン、移民受け入れで成長

出生率低下が進む欧州でスペインの人口が急増している。移民制限に傾くドイツや英国とは逆に、積極的な移民受け入れにかじを切っているためだ。人口は5000万人の大台が視野に入り、移民が提供する労働力を背景に経済指標も好調だ。1人当たり国内総生産(GDP)は今や日本を上回る。と日経記事にあります。

スペイン国家統計局によると同国の人口は10月1日時点で4944万人。ここ数年は年率1%と、近隣のフランス(2024年は前年比0.25%増)などより急ピッチで拡大している。このままいけば2年以内に5000万人を超える可能性がある。人口増加の主因は中南米やアフリカからの移民だ。合計特殊出生率は1.12と欧州主要国でもっとも低く、日本(1.15)に近い。人口の自然増は見込めない。左派のサンチェス政権は高齢化と低出生率による労働力不足を移民で補おうとしている。5月には3年で90万人の非正規移民を合法化する新たな移民政策を導入した。スペイン国外で生まれた移民は人口の2割近くに達する。欧州金融危機の影響で2010年代には国外に職を求める人口流出が移民流入を上回る時期もあったが、流れは逆転した。

移民の8割は働いており、農業や建設、飲食などの重要な担い手だ。介護施設より移民を専属で雇って自宅で介護してもらうほうが安上がりだとされ、住宅街では移民の介護者に支えられて散歩する高齢者をしばしば見かける。国際通貨基金(IMF)によるとスペインの25年の国内総生産(GDP)成長率は2.9%と、ドイツ(0.2%)やフランス(0.7%)を上回る見込みだ。ドルベースの1人当たりGDPは24年に日本を上回った。債務危機時に問題となった財政も順調に改善している。

サイス包摂・社会保障・移民相は「スペインの移民受け入れモデルは共栄をもたらしている」と語る。政府に経済、社会や労働上の提言をするスペイン経済社会評議会(CES)の推計では経済の生産性を維持するには今後10年で240万人の労働力供給が必要で、移民は不可欠だ。移民政策の成功の背景にはスペイン社会に溶け込みやすい中南米からの移民が多いという特殊事情もある。過去の侵略の結果として、スペインと中南米諸国には言語やカトリック信仰という共通点がある。移民政策厳格化を望む保守派は、中南米からの受け入れをアフリカと区別するよう主張する。野党で中道右派の国民党(PP)のフェイホー党首は9月、「文化的に近い」国々からの移民を優先すべきだと述べた。

スペインの出生率は極端に低く(1.12)、自然増は望めません。この状況で 経済規模を維持・拡大する唯一の手段が労働力の外部調達=移民 であり、経営でいう「外部リソース活用戦略」に相当します。これはビジネスでいう「統合コストの低いM&A」を選別している状態です。IMFによると2025年のGDP成長率はスペイン2.9%、ドイツ0.2%、フランス0.7%。欧州市場でビジネスをする企業にとって、スペインは最も魅力的な投資先の一つです。

リーダーや組織が描く未来戦略が繁栄か衰退か、大きく変わってしまう事の重大さを感じた記事でした。