ちよだ鮨が冷凍すし輸出へ 米国は職人不足

持ち帰りすしのちよだ鮨(東京・中央)は、米国へ冷凍すしの輸出を2026年春にも始める。3月に都内に新工場を稼働させ、米国の食品スーパーなどに供給する。米国ではすしの需要が高まる一方で、すしを握る人材は不足している。解凍するだけで提供できる冷凍すしを通じて米国市場を取り込む。と日経記事にあります。

ちよだ鮨は26年3月をめどに都内で冷凍すしを製造する工場を稼働させる。敷地面積は約215平方メートルほど。専用の冷凍庫3台を導入し生産能力は1日約2万貫となる。輸出に向け、米小売り側が求める食品安全管理の国際規格「FSSC22000」認証の取得も目指す。主力の国内ホテルやスーパー向けに加え、海外に販路を広げることで工場の稼働率を高める。冷凍すし事業の売上高を26年3月期見込みの1000万円から、5年で5億円規模に引き上げる計画だ。

日系スーパーの「ミツワマーケットプレイス」などに納入する見通しだ。ちよだ鮨はまず「カリフォルニアロール」の冷凍すしを生産し、冷凍品流通のスタートアップのデイブレイク(東京・品川)が現地に供給する。ちよだ鮨が冷凍すしの輸出に取り組む背景には、米国内の人手不足と人件費の上昇がある。カリフォルニア州は24年4月からファストフード店の従業員の最低時給を20ドルに引き上げている。大手小売店でも18ドル以上の求人が目立つ。

米国内では食品スーパーで持ち帰り用のパックずしを購入する消費者が増えている。和波氏は「西海岸と東海岸エリアでは、すし食は日常食となり、ランチやディナーの1品にテイクアウトすしを買うことが定着している」という。「インフレで外食控えの傾向が強く、総菜を持ち帰る需要が高まっている」ことも後押ししているとみる。

「金沢まいもん寿司」を手掛けるエムアンドケイ(金沢市)も米国への冷凍すしの輸出に向け、輸送用の保冷段ボールを開発した。発泡スチロールに比べてかさばらず、保冷フィルムによって内部の冷気を逃がさない作りにした。同社は1日約5000貫を製造できる国内工場を持っており、米国で展開する日本の大手小売店との商談を進めている。米大手小売りのクローガー系列の多くの店舗がすしコーナーの設置に力を入れている。日本企業ではゼンショーホールディングスは北米で持ち帰りすしを手掛ける2社を買収し、スーパー内のテナント出店を拡大している。双日も現地企業の持ち帰りすし事業を24年に買収した。食品加工機の鈴茂器工は巻きずし製造ロボットの販売台数を28年3月期に約1000台と3年で倍増させる。

成功確率は高い一方、注意点もあるかなと感じました。味や品質への飽き、米国規制や訴訟リスク、為替リスクなど。しかしながら流行りではなく「構造」に張っていて、投資が小さく、失敗しても致命傷にならない、成功した場合の上振れ余地が大きいことから、「守りながら攻めている日本企業の好例」と感じた記事でした。