インフレ定着、際立つ株高

2025年は日本株の再評価が一段と進んだ。30日に大納会を迎えた日経平均株価の年間上昇率は26%(1万444円)と、米ダウ工業株30種平均を3年連続で上回った。世界的な生成AI(人工知能)期待と日本のインフレ定着がマネーの流入を促した。高市早苗政権の発足で、日本経済が再び成長軌道を描くとの期待が海外投資家を中心に高まっている。株高の持続は、財政拡張への懸念に目配りした政策運営にかかっている。と日経記事にあります。

株高は世界的な現象だ。QUICK・ファクトセットによると世界株の時価総額は146兆ドル(約2京2700兆円)と1年で25兆ドル(2割)増えた。政治が混迷するタイなどを除く、ほぼ全ての主要国で株価指数が上げた。背景にあるのが主要国の金融緩和に伴う、投資マネーの膨張だ。米連邦準備理事会(FRB)は今年3回、欧州中央銀行(ECB)は4回利下げに踏み切った。米国を起点とするAI関連銘柄の上昇も世界で共通する。米マイクロソフトなど巨大テック企業によるデータセンターへの設備投資は活発だ。

日本のAI関連銘柄は米半導体大手エヌビディア向けに製品を供給しているとされ、需要の伸びが見込まれるアドバンテストのほか、ソフトバンクグループ(SBG)、東京エレクトロンの3社が代表格だ。この3社だけで日経平均を大幅に押し上げた。日本株の上昇率は米欧に比べ際立つ。25年は14%だった米ダウ平均の上昇率を3年連続で上回った。バブル相場がピークを迎えた1989年(4年連続)以来となる。欧州主要株で構成するSTOXX600(16%高)もしのぐ。

日本株固有の要因がインフレの定着だ。生鮮食品を除いた消費者物価上昇率は、22年4月から3年半にわたって政府・日銀が目標とする2%を上回る。連合は26年の春季労使交渉(春闘)について、賃上げ率を全体で5%以上とする目標を掲げた。物価が上がらず賃金も伸び悩む、デフレからの脱却は鮮明だ。名目GDPは直近7~9月期を年換算すると665兆円まで急拡大した。インフレは値上げに乗り出す企業の収益を押し上げる。

今の日本は「中小企業が変われる最後の猶予期間」に近いのではないかと感じます。守り続けた会社ほど苦しくなり、小さくても早く動いた会社が生き残る局面なのでは。株高は「他人事」では無く、実は経営判断を迫るサイレンと捉えております。