「銅争奪戦」が促す大型再編

スイスの資源大手グレンコアと同業の英豪リオティントが経営統合の協議に入ったと発表した。銅需要の高まりが両社の背中を押した。銅の用途は幅広く、足元では人工知能(AI)普及に伴うデータセンター増設で需給が逼迫する。鉱業各社は銅権益を確保して将来の需要増に備える。と日経記事にあります。

両社が9日までに発表した資料によると、リオティントがグレンコアを買収して合併する案のほか、一部事業のみの統合案も検討する。英国の買収ルールのもとでは、リオティントは2月5日(ロンドン時間)までに正式な買収意思の有無を示す必要がある。両社はまだ「予備的な協議」の段階とする。統合が実現すれば企業価値が2000億ドル(約31兆円)を超える世界最大手の鉱業会社が誕生する。統合の狙いは銅事業の強化だ。導電性に優れて加工がしやすい銅は用途が幅広い。電気自動車(EV)のモーターや車載電池、電子機器内の配線、データセンター向けのケーブルなどに使われ、安定的に需要が拡大する。一方で将来の供給不足を懸念する声も強い。経済産業省によると、2035年時点の銅の需要量は20年比で2倍に拡大する一方、供給量は1.6倍にとどまるとの試算もある。結果的に年1000万トン分の供給不足になる恐れがあるという。

足元で銅価格は上昇している。国際指標であるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物は5日、初めて1トン1万3000ドルを上回った。「銅争奪戦」の様相が強まる中、グレンコアとリオティントは有力権益の確保や供給能力拡大を狙って動き始めた形だ。合併企業は銅生産量でも世界首位に躍り出る。業界では25年に英アングロ・アメリカンとカナダのテック・リソーシズも経営統合で合意するなど再編機運が高まる。今回の統合協議について、銅製品を手掛ける日本企業の幹部は「強力な安定供給先が誕生することはポジティブだ」と話す。供給能力を高める中国の存在感が高まっており、需要家側からは安定調達を懸念する声があがっていた。

「銅はもはやコモディティではない、国家と企業の競争力を左右するインフラ資源だ」この認識を持って動いた企業が、10年後に主導権を握ると考えさせられる記事でした。