祖業売却が普通になる日
日経の記事です。ダイワボウホールディングスは先月、1941年以来続いた祖業の繊維事業を投資会社に売却すると発表した。5月に売却検討を公表し、実行に移した。今年の株価は先週までで50%高と、日経平均株価の28%高を大きく上回る。
(ダイワボウホールディングス株価推移)
伝統ある祖業の売却をためらう経営者がいるかもしれない。歴代トップや創業家の厳しい視線も感じるだろう。それでも事例は出始めた。カギはやはり、しがらみと縁遠い市場の声だ。オリンパスは機関投資家を社外取締役に迎え、顕微鏡など科学事業を売却した。
稼げなくなった祖業を売るだけでなく、代わりにどう稼ぐかまで証明しないと市場は認めない。日清紡ホールディングスは今年8月、ブレーキ事業を手掛ける欧州子会社の譲渡で380億円の特別損失を計上し、23年12月期は赤字に転落すると発表した。同社は1980年代以降の円高による収益悪化で、売り上げの70%以上を占めていた繊維部門の比率を7%台まで落とした。期待をかけたのが、繊維の技術を応用できるブレーキだった。つまずきを受けて株価も低迷している。
バークシャー・ハザウェイ副会長で、ウォーレン・バフェット会長の相棒だったチャーリー・マンガー氏。そのマンガー氏は、日本の経営者を後押しする金言を残した。「オーナーが望むかたちで会社が長く存続する可能性は非常に小さい。それは歴史が証明している」。創業者が抱える危うさを説いた。
「企業は消耗戦を避けて独自の経済圏を創れ」。マンガー氏が企業に求めた勝利の法則がちらつく。「他人に勝とうと思うな。違いたいと思え」。経営の本質を突くひとつの考え方として気になった記事のご紹介でした。