ミシュラン認定店3割減、「美食日本」の危機救え

渋谷駅(東京・渋谷)から徒歩10分、繁華街の騒々しさが消えた路地に店はある。7月1日に開いたばかりの東南アジア料理店「ナイトマーケット」。シェフの内藤千博氏が客や従業員に目配りしながら次々に料理を仕上げる。マネーが目をつけたのは客の舌をうならせる内藤氏の腕前だ。この店は投資ファンドのABFキャピタルが1億円超の開業資金を出した。資本上はファンドの傘下になる。都内の飲食店は15万店、独立したての料理人の店に投資マネーが入るのは異例だ。と日経記事にあります。

投資マネーは株式や債券、原油市場へ流れる巨額の資金で世界を動かす。大企業の経営にもの申すアクティビスト(物言う株主)としての動きも目立つ。人々の営みからは一見、縁遠かったが、すぐそばにまで浸透してきた。象徴が料理人だ。ABFは料理人の独立に資金を出す。2020年に立ち上げ、計40億円強を集めた。出店費用の3割前後の額を店舗ごとに設立する運営会社の資本金として出資し、残りを銀行から借り入れる。3年程度で事業を軌道に乗せ、料理人がMBO(経営陣が参加する買収)する際のリターンで利益を得る。

ファンドにとって料理人は「商品」であり、大きな富に化ける可能性のある金の卵だ。経営実績のない料理人が独力で出店しようとしても銀行から融資を受けるのは難しい。リスクを取る分、物件探しや事業計画作りなどの支援も惜しまない。内藤氏の店もヒノキのカウンターや炭火の焼き場など購入を諦めていた高価な設備が整った。個人店では難しかったことが実現し、料理の質が上がった。「ファンドの支えがなかったらこんな店は持てなかった。マネーがチャンスをくれた」と語る。

ファンドが個人店へ出資する動きは全国でじわりと広がる。

ミシュランガイドが掲載する星付き店は東京が世界で一番多い。一方でその数はピークの12年の247店から25年は3割減った。調理師免許の取得者数も23年度は2.4万人と10年で4割減少した。高報酬を求めて海外へ料理人の流出も続く。このままでは少子高齢化による後継者不足や労働環境の厳しさもあって日本の飲食業は下り坂になりかねない。ABFの熊原充志最高経営責任者(CEO)は言う。「日本の飲食業は衰退の一途になる。マネーが『伴走者』になって変える」

投資ファンド+銀行融資で新会社設立 ②人材採用・設備導入 → 受注開始 → 経営安定化 ③MBOで経営者が買い戻し、ファンドは利益回収

スキームとして、建設業にも応用できる記事と感じました。が、経営者の質(料理人の腕)が高い事が絶対条件と思います。質とは技術だけでは無く、哲学・時流・セールス・人望・家族・資金力・資格・運などなど複合的な要素のタイミングが合っている事だと思います。