賃上げこそ生き残る経営

今年の春季労使交渉では、賃上げ率が約30年ぶりの高い水準となり、日銀のマイナス金利解除にもつながった。日本の賃金の潮流について経営者たちはどう捉えているのか。サントリーHD社長の新浪剛史氏のコメントで、考えが共通している部分が多々ありました。日経記事より抜粋です。

――過去20年で最高のベースアップ(ベア)にしたのはなぜですか。

「日銀の見通しを踏まえ、3%程度のベアをしないと生活が苦しくなると考えた。昨年を少しでも上回りたかった。2年連続やれば3年目も、という予見性を持たせることが重要。だから家を、車を買おう、おいしいもの食べよう、となってくる。成長するから新しいこと、おもろいこともできる。来年も上げられるようにしたい」

「これだけ人手不足が深刻な中、経営者はCPI(消費者物価指数)プラスアルファで賃金が常に上がるというコンセンサスを持たなければいけない。労働組合との交渉ではプラスアルファが決め手になる」

――連合集計で賃上げ率の平均が5%を超え、33年ぶりの水準です。

「群集心理として人が足りないと思っているということだ。給料が高くなければスキルを持った人材は採れない。サントリーHDも3~4割が(中途採用を含む)経験者採用で他では5~6割の企業もある。新卒に頼る採用は徐々に減り、今までと異なる人材獲得の市場ができあがっている」

「人を財ではなく物として、コストとして考えざるを得ない環境にあったことがデフレの大きな元凶だ。デフレ下も人材に投資した会社がこれからは勝ち残る。人を育ててきた会社はより強くなるし、コストと考えてきた会社は大変厳しくなる。新陳代謝が始まる」

――賃上げによって、私たちの考え方や心構えはどう変わりますか。

「賃金が上がらないと、土日になったら(高価格帯ビールの)プレミアムモルツを飲もうといった少しの幸せもない。賃金は上がるもので、物価も上がっていく。そのために生産性を上げていくといった運動にならないといけない。デフレに後戻りしない」

――中小企業にどう賃上げの流れを広げますか。

「多重になっている下請け構造をなくさないといけない。価値に合わせた人件費をきちっと支払う体制をつくらないといけない。公正取引委員会が企業名を出すのは大いに結構。政府がウオッチドッグ(監視)の役割を担い、経済産業省や労働基準監督署もメスを入れてきている。日本は名前が挙がれば恥だと思う国。下請け構造に大なたを入れたいという強いメッセージだろう」

「中小でも賃上げで人手を確保する環境になってきている。人が集まらないところは倒産する。新型コロナウイルス禍の時に支援を受けて延命したものの、今後、金利が上がる予想の中で借りたお金を返さなければいけない。事業の継続意欲が厳しいところはやめていく。これは日本経済にとって悪いことではない」

弊社においても賃上げは毎年実施している状況ではありますが、それが出来るのも顧客第一を徹底している前提ではありますが、電気工事という領域で営業・設計積算・施工(工事・管理・施工図)・採用(広報)・総務(バックオフィス)といった全ての業務を内製化する事で、多重下請け構造と真逆の自社完結型構造を作り出している事が、高収益体質につながり、社員の生活の向上につながる対応をしていけるのだと考えております。

しかしながら、それは簡単に出来る事では無く、一日一日の仕事を丁寧に進めていく中での気づきやあらゆる情報のインプットを、自分自身にある怠け心との葛藤と闘いながら、昨日よりは今日・今日よりは明日と、毎日毎日の地味な改良改善の積み重ねで成り立っている事もまた事実でありまして、世の中で成功されている経営者さんは、己を律する心が強いのだと思う今日この頃であります。