有望フィンテック解散 大手との提携で暗雲
2019年に設立したCrezit Holdings(クレジットHD)は大企業との業務提携を機に事業が行き詰まり、会社を解散することを24年春に決めた。代表の矢部寿明氏はフィンテックかいわいで名が知られていた。21年、起業家の登竜門とされる合宿イベント「インキュベイトキャンプ」のピッチ大会で優勝。当時ピッチを聞いた投資家は「いずれは企業価値1兆円を目指せる可能性を感じた」と語った。資金調達も順調だった。設立時の19年に7000万円、その後21年にかけて2億円、22年には6億5000万円の資金を集めた。と日経記事にあります。
転機は22年に訪れる。大手金融機関との業務提携だ。22年春に提携し、金融機関が同年4月に新設した子会社向けに、与信システムを開発して提供する計画だった。他の大手金融機関にもシステムを提供するなど横展開できるとにらんでいた。提携開始から2カ月ほどで事業に暗雲が立ち込めてきた。金融機関が求める品質に対し、クレジットHDが持つ人員や資金などのリソースが追いつかなくなった。
「僕たちが想定していた規模感を超えて要件が増えた。最終的には(開発工数が)6倍くらいになった」(矢部氏)。その結果「スタートアップができる規模ではない、数十億円規模の開発が求められるようなシステムになってしまった」。開発費が膨らみ、手元資金は減っていった。資金が尽きる日が迫るなか、矢部氏はコストカットを急いだ。業務委託のメンバーに電話しては「できれば今月末で業務委託は終了にしてほしい」と伝えた。50人ほどいたメンバーは、わずか5人に減った。
経営者として苦渋の決断であった事は想像に難くないですが、人員の削減=優秀な人材が会社からいなくなる事となりますので、そこは最終手段なのかな、と記事を読んでいて感じました。建設業でも言える事ですが、大手さんになればなるほど要求する品質は高く、その要求品質に応えようとするあまり社員が疲弊してしまうケースがあります。自社の人員規模、人材、業界でのポジショニングを見極めて、もっとも高い付加価値を提供できるお客様を企業の成長ステージに合わせて選定していく事も、経営者の目利きなのでは無いかなと改めて考えさせられる記事でした。規模の拡大を急ぐあまり、社員の成長段階を蔑ろにしてはいけないなと感じました。