国内戸建て背水の陣
大和ハウス工業は国内戸建て住宅事業について、フルオーダー住宅からセミオーダーと建て売り住宅中心へシフトする。受注の多くを占めるフルオーダーはコストが高く、足元の同事業の利益率は1%を切った。セミオーダーなどを5割以上にひきあげ、負担の減った設計士を利益率の高い部門に回すなどして生産性を高める。と日経記事にあります。
「3年で20%以上も注文住宅の市場が小さくなった。普通だったら、どう考えてもやっていけない」。国内の戸建て住宅を担う、住宅事業本部長の永瀬俊哉・常務執行役員はため息をつく。国土交通省によると注文住宅に相当する「持ち家」の着工戸数は24年10月に1万9705戸で、3年前の21年10月(2万6840戸)から26%減った。23年度の着工戸数でも21万9622戸と、ピークだった1970年代(約80万戸)から右肩下がりが続く。
市況とともに大和ハウスの業績も落ち込む。24年3月期の国内戸建て住宅事業の連結の営業利益は36億円と前の期(97億円)比で63%減少した。事業利益率はわずか0.8%と同2.2%から約1ポイント下落した。同社にとって国内戸建て住宅事業はかつての中核事業だ。足元では「大和ハウス単体では継続的に利益を出すのは難しい状態」(同社関係者)とまで落ち込むが、永瀬常務は「注文住宅事業が大和ハウスを支えてきた。撤退という選択肢はない」と強調する。
これまでは全国約50の事業所で注文住宅と建て売りを担当するのは同じ部署だったが、別部署に分けた。あいまいだった役割分担を明確にする。建て売り住宅の施工をグループ会社にも任せ、大和ハウス本体は販売を強化する。営業担当者1人当たりの戸建て年間販売数はこれまで5~6戸程度だったが、2倍の10戸程度まで増やす。
こうした取り組みは戸建て事業以外の強化にもつながる。自由設計が減るため、設計士の手が空く。大和ハウス単体の1級建築士は24年3月時点で2694人。業界内でも高水準とされており、配置転換を進める。
資材高騰が住宅建設の重しになっている事は、多くのメディアで語られている事ではありますが、大手の大和ハウス工業さんの動きでも顕在化してきているのだと思います。ローコストと認識されていたメーカーさんでも、もはやローコストの坪単価では無くなっているという話も耳にします。厳しい現実に直面している住宅産業ですが、何かしらの突破口はあるのだと思います。厳しい時の創意工夫が経営の分かれ道であり、醍醐味なのだと思います。