JTB、観光地からつくる

JTBが旅行代理店からの脱却を進める。香川県や沖縄県など全国7地域で地元の事業者と連携し、観光地の開発に乗り出した。交通インフラを整備するほか、ホテル開発にも参画して観光地を活性化させる。創業から1世紀以上たち、主力の旅行事業が予約サイトとの競争が厳しくなるなか、旅行以外の事業で利益の半分を稼ぐ会社へと変革する。と日経記事にあります。

自ら観光地の開発に乗り出す背景には、旅行事業の回復が遅れ、事業構造の転換が急務となっていることがある。山北社長は「旅行商品を売って手数料を得るだけではなく、旅そのものの価値をつくっていく」と話す。JTBは小豆島のような「エリア開発事業」を全国7地域で展開し、23〜28年度に400億円を投資する。このうち半分程度を旅館やホテルの開発に充てる。

沖縄県北部でも地元事業者と連携し、空港と宿泊施設を結ぶシャトルバスの運行やホテル開発に取り組む。世界自然遺産「やんばるの森」で上空を滑空するジップラインを整備した。7月に開業する自然体験型テーマパーク「ジャングリア」の運営会社にも出資した。

山北社長は「今後10年程度で旅行以外の事業が粗利益の半分程度まで拡大する」とみる。JTBは旅行から広がる一連のビジネスを「交流創造事業」と定義し、5〜10年ほどかけて完成させる構想だ。観光地が活性化すれば、旅行事業にもプラスに働く。

コロナ禍で経営環境は一変した。2021年3月期は連結売上高が20年3月期に比べ71%減の3721億円となり、過去最大の1051億円の最終赤字(20年3月期は16億円の黒字)に転落した。従業員の2割に相当する約7000人の人員削減や国内店舗の2割閉鎖などの構造改革を余儀なくされた。

既存のビジネスモデルの限界が露呈し、ネット予約では大手予約サイトに出遅れている。MMD研究所(東京・中央)が24年10月に実施した調査では、国内旅行のネット予約で「JTB」を最も利用していると答えた人は4.8%にとどまる。首位の「楽天トラベル」(39.8%)や「じゃらんnet」(24.4%)との差は大きい。

これまでの経営の進め方が難しくなる事態に直面した時の対応で、その後の進むべき道筋が変わっていくという事ですね。変革と言えば聞こえはいいのですが、これまで培ってきた歴史を活かしながらの変わっていく作業は、困難を伴いますが、地味な一歩一歩の積み重ねしかないというのが王道かと考えさせられる記事でした。