「カローラ伝説」捨てる

トヨタは「トヨタスタンダード」と呼ぶ独自の設計基準を設けている。いかなる国でも品質を同じにする手法で、ものづくりの根幹だ。欧米勢を抜き世界一の自動車メーカーになった原動力でもある。それがいま、新たな顧客を獲得するうえで足かせになり始めた。と日経記事にあります。

世界ではトヨタ車よりも4~5割価格の安い中国車が急速に販売を伸ばす。調査会社によると、中国・比亜迪(BYD)の大衆車2車種の世界シェアは24年、1.3%に高まった。大衆車の象徴、トヨタ「カローラ」(2車種)に0.2ポイント差まで迫る。この5年で一気に販売を増やした。脱落は始まっている。日産自動車や独フォルクスワーゲンは業績が悪化し、大規模なリストラに追い込まれた。いずれも中国車との競争激化が要因だ。

カローラの価格を平均年収で割った「カローラ価格指数」を見ると明らかだ。数値が高くなるほど手が届きにくい。1966年の初代は日本の年収とほぼ同じ0.90だった。高度成長期を経て82年に0.27まで下がる。誰もが買える水準だ。だが、19年以降に急上昇し、23年は0.52となって70年ごろと同じ水準にまで高まった。車の値上がりに収入の増加が追いついていない。中間層が傷み、大衆車という概念そのものが成り立ちにくくなっている。

危機感は自動車販売の常識をも変える。EVのコストは3割を電池が占める。いかに価格を下げようとしてもガソリン車並みにはならない。車を丸ごと1台売る販売方法をやめ、電池の所有権だけトヨタに残せば売値を抑えられる。一部の部品メーカーと検討を始めた。500万円台のEVを300万円台まで下げられる可能性がある。これなら日本でもBYDに価格で対抗できる。

大衆車は全てを価格が支配する。トヨタ自動車工業(現トヨタ)の創業者、豊田喜一郎氏は記す。「大衆車の第一条件は何をおいても廉価である」。豊田章男会長も語る。「トヨタは車を誰もが手に入れられるものにしてきた」

EVにおいての心臓部は電池。電気工事においての心臓部は職人だと思うのです。心臓部を制するものが、市場から支持を受けるのは必然だと考えております。