「国家戦略技術」創設、AI・核融合など6分野

政府は経済安全保障上の重要性が高い技術を「国家戦略技術」として新たに指定する。人工知能(AI)やバイオ、核融合といった6分野を指定し、研究予算の配分や税制上の優遇措置を重点的に講じる。国際競争が激しい技術領域への投資を促し、起業から実用化まで後押しする。と日経記事にあります。

高市早苗内閣は「新技術立国」の実現を政策の柱の一つに掲げる。経済成長や危機管理に不可欠な分野を政府が支援することで企業や研究機関の民間投資を引き出す「成長・危機管理投資」の一環となる。最重点技術と位置づける国家戦略技術は①AI・先端ロボット②量子③半導体・通信④バイオ・ヘルスケア⑤核融合⑥宇宙――の6分野とする方向だ。内閣府と国家安全保障局(NSS)が中心に選定し、経済産業省や文部科学省などが支援メニューの策定に関与する。

経済安保に重要な「新興・基盤技術」の16分野のうち、2030年代以降に技術革新が見込める領域を選ぶ。25年度内にまとめる5年間の科学技術政策の指針「科学技術・イノベーション基本計画(科技計画)」に反映する。政府の支援策として企業や大学の研究費用の一部を法人税などから控除する研究開発税制について、指定分野の優遇措置を拡充する方法が候補にあがる。高い研究力を持つ拠点機関と連携した場合の控除率などを高く設定する想定だ。政府・与党が検討中の26年度税制改正で実現をめざす。

新興技術は研究段階にあるケースが多く、投資リターンが不確実なため民間からの投資が入りにくい。日本の民間研究開発支出に占める政府支援の割合は7.7%で、経済協力開発機構(OECD)平均(11.3%)より低い。AIなどの新興技術や宇宙といった研究分野は経済成長に重要な領域だ。デュアルユース(軍民両用)技術の高さは安全保障上の危機管理にも直結する。各国が「戦略技術」を定めて支援に乗り出しており、日本も官民が協力して取り組む必要がある。内閣府は6分野について、投資促進だけでなく研究・開発を担う人材育成の強化や企業と研究機関の連携、創業や経営体制の構築、同志国との協力など幅広い支援に取り組む方針だ。

米欧でも経済安保上の重要技術に優先順位をつけて支援する取り組みがある。米国は国家科学技術会議や国家安全保障会議(NSC)が中心となり「重要・新興技術リスト」を作成した。半導体やAI、機械学習を指定し、24年に米政府の支援案をロードマップとして公表した。欧州連合(EU)は23年に10の「重要技術領域」を公表した。半導体、AI、量子、バイオテクノロジーの4の技術領域を特に重視する方針も盛り込んだ。

建設業は今回の「国家戦略技術」指定の最大の受益産業の一つと言えると思います。

  1. AI・ロボット → 圧倒的に最も強い追い風
  2. 通信・半導体 → スマート現場・無人化施工を支える基盤
  3. バイオ・ヘルスケア → 新建材・安全管理・維持管理を強化
  4. 宇宙 → データ活用×建設DX、防災インフラの高度化
  5. 核融合 → 長期の大型建設プロジェクト市場の創出

建設業界の経営者にとって今回の政策は、「守り(人手不足・安全性)と攻め(新市場)」の両方を支援する極めて重要なタイミングと認識させられる記事でした。