営業「ゼロ」福井最強の菓子・はや川

北陸新幹線が福井まで延伸してからおよそ1年。一般的には東尋坊や永平寺、恐竜博物館で名をはせるぐらいで、爆発的に観光需要が生まれているわけではない。それでも福井市の観光振興課によると延伸前に比べ、客数は20%増と少し活気を取り戻した。例えば水と庭、屋敷の一体感が見事な福井松平藩藩主の別邸だった養浩館庭園や一乗谷朝倉氏遺跡など「いぶし銀」の観光地にも注目が集まっている。「越前海岸の温泉施設など、延伸をにらみ、投資をした施設などは潤っている」(観光振興課)と日経記事にあります。
実は福井には東京など巨大市場の観光客や消費者が目を付けている「資源」がもう一つある。
福井県勝山市に本社を置く菓子メーカー、はや川の「羽二重くるみ」だ。ここ20年、駅前のショップでは夕方までにはほぼ完売してしまう。新幹線延伸後の福井市の観光ポータルサイトのお土産部門のアクセストレンドは当然1位だ。

羽二重くるみは、羽二重餅にじっくり煮込んだ甘露煮のくるみを混ぜ、卵とバターの風味のシュー生地と5層に重ねたもので、洋菓子に近い感覚の和菓子といえる。このためお茶だけでなく、コーヒーや紅茶にも合う独自の味覚領域を切り開いた。
勝山市で菓子店を営んでいた先代社長が「地元名産のくるみを使ったお菓子を作りたい」と考え、洋菓子の講習会に参加。そこでシュークリームを挟んだロール菓子の作り方を学んだ。この製造手法から今の羽二重くるみのアイデアにつながったという。発売は40年以上前にさかのぼるが、当初は売れない。しかし地元の菓子卸が独特の食感と味を見込み、売り場を確保し続けると次第に人気が高まっていった。
2005年の福井駅構内の改装と同時に、これまでの販売実績から土産菓子売り場の一等地を確保。以来、完売が当たり前のメガヒット菓子となる。最近では東京や関西の有力スーパーや百貨店などから期間限定での注文が殺到し、チョコレートの「ゴディバ」とのコラボ菓子もてがけている。

「なぜここまでヒットしたのか」とはや川の早川慶太社長に聞くと「不思議です」との答えが返ってきた。早川社長自身、「営業をしたことがない」というから面白い。福井以外の販売は外部からの依頼だ。しかも最近のスイーツトレンドにも全く関心がない。先代が作った味を菓子職人でもある早川氏が毎日のように製造現場に入り、羽二重くるみ作りにたずさわる。このため外部との交流は少なく、福井の経済界でも異質の存在だ。
逆にいうと、我が道を進み、味や品質のブレのなさが人気を呼んでいるのだろう。中途半端にトレンドを気にすると標準的な商品が生まれ、全く刺さらないケースは珍しくない。
なんとなく、新潟の加島屋に近い強さなのかなー、と感じた記事でした。だとすると、圧倒的な素材と味の良さがあるのだと思います。トップ電工もそうありたいなと思いました。