低生産性解消の処方箋

「日本の労働生産性は低い」と言われて久しい。働き手の減少が見込まれるなかで一人ひとりの生産性の向上は欠かせないが、他の先進国と比べて時間あたりの生産性は低迷する。真面目で丁寧な仕事ぶりで知られる日本人の生産性はなぜ低いのか。その謎を解くカギの一つが高級ブランドなど「ラグジュアリー産業」にあるかもしれない。と日経記事にあります。

日本生産性本部によると、2023年の日本の時間あたり生産性は56.8ドル。主要7カ国(G7)では最下位で、ラトビアやポーランドよりも低い。労働生産性の分子は名目の国内総生産(GDP)なので、売り上げや付加価値の増加を伴わない生産性向上には限界がある。効率化だけには頼れない。

細やかな接客や高い品質、顧客やものづくりへの忠誠心――。実は日本の「おもてなし」や「高品質・低価格」が生産性向上の足かせとなっている可能性がある。「店員さんのお辞儀って必要ですか?」。こう指摘するのは世界の市場動向を分析しているブーケ・ド・フルーレットの馬渕治好代表だ。「お辞儀をしたからといって売り上げは増えない。その時間を在庫管理や事務に充てたほうが生産的だ」と話す。

製造業の生産性にも課題はある。「品質のよいものを安く提供するのがメーカーの使命、とした松下幸之助氏(パナソニック創業者)の哲学が世の中に根付いてしまったからではないか」。こう話すのはラグジュアリーブランドに詳しい早稲田大学ビジネススクールの長沢伸也教授だ。「日本に高品質・低価格がはびこるのは性能や価格を競ってしまうせいだ。ブランド戦略の基本は『これじゃなきゃダメ』だ」と説明する。

セイコーウオッチやシチズン時計のソーラー電波腕時計は10万年に1秒しか狂わないが、安いものなら数万円台で手に入る。一方、「ロレックス」や「オメガ」などスイスの高級腕時計は多くがぜんまい式で定期的に手動で巻く必要がある。だが「マニアは巻くことをいとわない。むしろ喜々として巻いている」。フランスのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンやロレアル、エルメス・インターナショナルといった高級ブランド企業は、いずれも欧州で時価総額の上位に入る。

個人的な見解ですが、ラグジュアリーブランドの最大の強みは、ファンとなって頂いた顧客と継続的に良好な関係性を築いている事にあると思います。それってラグジュアリーブランドで無くとも出来る事だと考えております。