都市再開発、遅れ・費用増8割

全国で市街地再開発の計画見直しが相次いでいる。日本経済新聞の調査で、進行中の事業のうち、8割弱で完了時期の延期や費用の増加が起きていることがわかった。見直した計画の平均で期間は2.7年延び、費用は2割膨らんでいる。資材価格が上昇し、人手不足も響く。再開発は国や自治体からの補助金も充てられており、計画変更は公的負担の増加につながる。と日経記事にあります。

大幅な見直しは東京都で顕著だ。12年に都が事業計画を認可した後楽園駅前の再開発は大型ビルを複数建てた。工期は5回見直し、事業完了時期は25年12月と当初より6年半近く遅れる見通し。事業費は約1360億円と約8割増えている。補助金は約275億円と同3.5倍に膨らんだ。計画見直しの理由に「資材費の上昇」を挙げた地区は全体の7割弱にのぼる。建設物価調査会(東京・中央)によると、25年2月の東京地区の建築費指数(2015年=100)は、マンションが135.4と過去最高。鉄筋などの資材高騰に加え、建設業界で24年4月に強化された残業規制も要因となっている。

兵庫県三田市の三田駅前の再開発は大工や現場監督などの稼働時間が減って作業ペースが遅れることを想定し、高層マンションや商業ビルなど予定する工事期間を8カ月延ばした。建材の組み立てや電気機器の設置まであらゆる人材が不足し、人件費は上昇が続く。

大分市末広町の再開発では27年10月完成予定のマンション2棟について、事業費を抑えるために階数を計6フロア減らす。郡山駅前一丁目(福島県郡山市)のマンションも住戸1戸あたりの床面積を1割弱減らす。計画遅れで事業費が膨らむと、国民の税金が原資の補助金が増え、自治体の財政悪化につながる。規模追求の開発には限界も見え始めている。