コストコ出店、給油所淘汰

会員制量販店「コストコ」が出店した地域で給油所の淘汰が目立つ。コストコは有料会員向けにガソリンを全国平均より20円ほど安く売って集客し、年会費や食品・日用品で回収している。4月に出店した山梨県南アルプス市では、すでに地場の給油所が3つ閉鎖した。業界団体は安全インフラとしての給油所の価値を訴えるが、明確な対抗策を示せていない。と日経記事にあります。
4月11日にオープンした「コストコ南アルプス倉庫店」。店舗の入り口には「有料会員価格」の文字と共に、ガソリン価格をアピールする看板が立っていた。ほとんどの客が自家用車で来店するなか、会員向けの目玉商品と位置付ける。記者が訪れた4月下旬、レギュラーガソリンの価格は1リットル164円だった。同時期の全国平均よりも約20円安い。平田大介・副倉庫店長は「ガソリンで大きな利益を出したいわけではなく、会員になるメリットの一つとして訴求している」と説明する。

コストコはガソリン販売市場では「独立系」に位置付けられる。石油元売り大手からガソリンを仕入れる一般的な給油所と異なり、商社などから割安に調達しているもようだ。山梨の店舗の164円という販売価格は仕入れ値を上回っていると説明しており、独占禁止法が定める不当廉売にはあたらないとみられる。
一般的な給油所では仕入れ値に輸送費や人件費などを上乗せして販売しなければ採算が合わない。コストコはガソリンを赤字覚悟の目玉商品にすることで、年会費を払う会員の獲得や店舗の売り上げ増加につなげ、全体で利益を確保しているもようだ。大型の会員制量販店という業態だからこそなせるわざだ。

コストコ出店の影響で給油所が閉鎖に追い込まれる構図は、米アマゾン・ドット・コムが既存産業から顧客を奪う「アマゾン・エフェクト」と呼ばれる現象にも似る。
全国石油商業組合連合会(全石連)の出光泰典副会長はコストコについて、「資本の力に物をいわせた全く土俵の違うビジネスモデルの廉売行為を野放しにしておけば、地場の小規模事業者の廃業・撤退が促進される」と批判する。全石連が強調するのが災害時の対応だ。給油所は震災などの際に、避難所への灯油配送や緊急車両への給油などを担う。コストコの出店で地域の給油所が淘汰されれば、そうした災害時の役割を果たせなくなると主張する。
選択するのはお客様であり、資本主義の本質を見せつけられるような現象と感じました。