縮む建設業、工事さばけず

国内で商業施設や工場などの建設が停滞している。建設会社が手元に抱える工事は金額にして15兆円を超え、過去最大に膨らんだ。かねて深刻な人手不足に2024年からの残業規制が拍車をかけている。生産性の向上を急がなければ、民間企業の設備投資や公共投資の制約となり、日本の成長力が一段と下振れする恐れがある。と日経記事にあります。

イオンモールは福島県伊達市の店舗のオープンを当初予定の24年末から26年下期に延期した。建設作業員が集まらず、工事が計画通りに進まなかった。「東北地方は人手がもともと少ないうえに各地に散らばっている。確保が難しい」と説明する。

社会全体での働き方改革の不可逆な流れも、こと労働力の確保という部分では足かせになる。24年4月に始まった時間外労働の上限規制で、建設業は原則として月45時間、年360時間までしか残業できなくなった。結果として24年の一人あたりの総労働時間は前年から32.3時間減った。マイナス幅は全産業平均の14.3時間を上回る。

建設会社が利益率の高い工事を優先する傾向も強まる。民間の産業用建築物の1平方メートルあたりの着工単価は、24年におよそ30万円と前年から18%も上がった。ある大手のトップは「採算や工期を十分に確保できるかによって厳格に選別している」と語る。近年は中小の建設会社の廃業も目立つ。人手の確保で後手に回り、好採算の案件にあぶれて生き残りが難しくなっているとみられる。

大和総研の末吉孝行氏は「日本の建設業は中小が多くIT(情報技術)の導入が遅れている」と説く。建設従事者が使える省人化などのソフトウエアの一人あたり導入量はフランスや英国の5分の1にとどまるというのが現状の試算だ。業界全体で工事をさばく能力が低下した状態が続く弊害は大きい。働き手の確保が難しいのなら、デジタル化などによって生産性を高めるしか道はない。

2024年以降、実感として土日・祝日は休みの現場が多くなり、その分工期も伸びていると感じております。採算性は案件のタイミングにもよりますので、何とも言えませんが、建設業全体としてはホワイトに働ける環境になっている事を実感しております。人手不足については、企業の姿勢によって大きく状況は異なると思います。求職者に選ばれ、従業員に納得感のある待遇・処遇を提示できなければ厳しい結果が待っているのだと思います。