アップル映画支えたソニー

米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は7月末の決算説明会で、自社映画「F1/エフワン」の成果に胸を張った。エフワンはブラッド・ピット演じるベテランドライバーがフォーミュラ・ワン(F1)に復帰し、チームを立て直す物語だ。本物のレーシングカーを使った時速300キロメートルの疾走をスクリーンで体感できると話題を集めた。6月下旬の公開から1カ月ほどで世界興行収入は5億5000万ドル(約808億円)に達する。アップルは動画配信サービス「アップルTV+」向け映画の一部を劇場でも公開しており、エフワンは劇場公開作で最大のヒットとなった。と日経記事にあります。

その撮影を支えたのが、ソニーグループの映画撮影用カメラチームだ。起点は2022年11月、エフワンの総監督と撮影監督の何気ない会話だった。「棒の先に画像センサーがあればなぁ」。業界イベントでの発言を、ソニーの映画用カメラの事業部門長、高橋暢達氏は聞き逃さなかった。すぐにエンジニアの西駿次郎氏に伝えて開発チームを立ち上げた。エフワン製作陣は22年の大ヒット映画「トップガン マーヴェリック」を生み出した。戦闘機のコックピットに6台のカメラを載せて撮影したことで知られる。より臨場感のある映像を求める製作陣に、ソニーの高橋氏と西氏は特別仕様のカメラで応えた。

製作陣の要望を取り入れる姿勢が米ハリウッドで評判となり、近年は大型作品での採用が増える。米映像情報サイト「IMDb」のデータを用いた分析では、25年の米アカデミー賞候補作におけるソニーカメラの採用率は50%にのぼるという。22年の10%未満から急伸した。

ソニーは消費者向け製品で価格競争に苦しんだ経験から、コンテンツの担い手に照準を絞る。撮影現場の要望は常にハードルが高い。それでも高橋氏は「エンジニアは挑戦こそが飯の種だ」と笑う。そこには創業時から変わらない「ものづくり精神」が宿る。そのこだわりこそがアップルをも感動させるソニーの競争力になっている。

F1、ネトフリで見てみようと思います!