ネトフリ、IP投資で稼ぐ

米動画配信大手ネットフリックスが自社コンテンツを軸とした成長戦略を追求している。自社保有の動画を映画館で上映し、知的財産(IP)を玩具に展開して収益を積み上げる。米ハリウッドの再編や人工知能(AI)動画の流行に踊らず、王道のIP投資で稼ぐ姿勢を鮮明にしている。と日経記事にあります。

21日、映画制作や配信を手掛ける米メディア大手WBDが会社全体の売却を検討していると表明した。ハリウッドで5大メジャーとされる映画スタジオが売りに出るとあって、同日のネットフリックスの決算説明会でもアナリストの質問が業界再編に集中した。「再編は過去にもあった。規模を大きくしたところで、当社の競合が直面している課題の本質は変わらない」。グレッグ・ピーターズ共同最高経営責任者(CEO)はこう語り、ライバル同士が合併しても、配信の会費を元手にコンテンツに巨額を投じるネットフリックスのまねはできないと強調した。WBDは「ハリー・ポッター」や「ゲーム・オブ・スローンズ」など有力作品を持ち、動画配信の「HBOマックス」を手掛ける。その名門企業が「複数の買収提案を受けた」と明らかにした。

ネットフリックスも一部事業の買収に関心があると報じられるが、テッド・サランドス共同CEOは「やり方を変えずとも十分な成長余地がある」と述べた。資金力を生かし、世界各地で映画・ドラマの自社制作と外部調達の組み合わせでヒットを生む戦略は揺らがないと説明した。

IPの横展開によって稼ぎ方の幅も広げる。

その代表例が、ネットフリックス最大のヒット映画となった韓国文化をテーマにした音楽アニメ「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」だ。ネットフリックスでの配信開始から2カ月後に映画館で劇場公開すると、その週の興行収入で米国首位になった。さらに21日には、米玩具大手のマテルやハズブロとライセンス契約を結び、両社がグッズやゲームを展開すると明らかにした。同じIPで何度も稼ぐ、ハリウッドの映画大手のお株を奪う手法で収益を積み上げる。

米オープンAIが9月に動画生成AIの「Sora(ソラ)」を公開し、ネット上にはリアルなAI製動画が氾濫する。サランドス氏は同日の説明会でコンテンツ産業にAIが与える影響を問われ、「素晴らしい作品を作るには優れたアーティストが必要。AIはクリエイティビティー(創造性)を代替しない」と一蹴した。

ネットフリックスは、配信プラットフォーム企業から「IP資産を核とする総合メディア企業」へと進化しつつあります。この変化は、単なる成長戦略ではなく、“コンテンツを通じて世界の文化資産を握る”という長期的なビジョンの実現段階に入ったことを意味すると感じた記事でした。