フィジカルAI、製造に革新 ソフトバンクG

ソフトバンクグループ(SBG)がスイス重電大手ABBからロボット事業を買収するのは、人工知能(AI)とロボットを融合させて製造分野の革新を主導するためだ。同分野では米半導体大手エヌビディアもロボット大手の安川電機とともに事業機会を探る。テック大手が開発競争を続けてきたAI技術が製造業へと応用先を広げ始めた。と日経記事にあります。

SBGの孫正義会長兼社長は同買収について「次のフロンティアは(ロボや自動運転などの)『フィジカルAI』だ」と語った。その上で「(人知を超える)人工超知能(ASI)とロボティクスを融合させることで人類の未来を切り開く画期的な進化を実現していく」と強調した。ABBは世界の産業ロボ市場で2~3位のシェアを持つ。工場内の状況を仮想空間に再現する「デジタルツイン」の活用で先行する。「ロボット大手の中でもデータ活用に積極的」(国内同業)とされ、こうしたデジタル技術との相乗効果をSBGは取り込む。データセンター、半導体に続いて手を打ったのがロボットだった。1月の取締役会で、グループが持つロボット関係の出資先を集約する中間持ち株会社「ロボホールディングス(HD)」の設立を決めた。

孫氏にはAI時代の製造業の転換が視野に入る。ロボットや自動運転車が自律的に仕事をこなす工場群として、米国で「インダストリアルパーク」構想を描く。1兆ドル規模の投資となる見通しで、スターゲートで整備した計算基盤を活用して「製造業革命」を先導する考えだ。そのためのパーツとしてABBのロボット事業を買収した。

SBGとエヌビディアに共通するのは、工場現場のデータを収集しAI学習を急ぐ点だ。学術論文やインターネット上のデータを学習する既存のAIと異なり、フィジカルAIの開発には工場現場の特殊なデータが不可欠となる。産業ロボメーカーと組むことでフィジカルAIの性能を高めていち早く実装につなげられるというわけだ。

SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは「SBGはあくまで投資会社。今後投資価値が得られるかどうかは未知数だ」と指摘する。SBGの買収発表を受けて、8日の株式市場ではSBG株に大きな変動は見られず、前日比2%安の2万610円で引けた。立花証券の鎌田氏は「今回の買収で手元流動性は一時的に減るものの、財務状況としては問題ないだろう」と分析する。製造業のAI実装に向けて買収攻勢を続ける投資余力は十分にある。

孫氏の発言「次のフロンティアはフィジカルAI」は、まさに10年先を見据えた「構想力」の象徴と感じます。ただし、構想だけでは持続的競争優位は築く事は難しく。これから重要なのは、

  • グループ企業の連携(Arm・ABB・SB Vision Fund間の統合)
  • データ活用のための共通基盤整備
  • 現場レベルでのスピード実装

この3点をどう実現していくかと思います。。成功すれば、SBGは「AIによる製造革命の主導者」として世界経済の中心となる可能性が高まる記事と感じました。