永守流「同意なき買収」でV字回復

「信じろとは言わんけど、1年間だまされたと思ってついてきてください」。2023年11月、ニデックの永守重信代表取締役が工作機械メーカーのTAKISAWAの岡山市の本社食堂に現れた。集まった社員は神妙な面持ちで話を聞いていた。ニデックが仕掛けた同意なきTOB(株式公開買い付け)成立から5日後のことだった。と日経記事にあります。

永守流を植え付けるプロジェクトが始まった。「その場しのぎで噓ついたんやないやろな」。経営幹部との会議では時に永守氏の大声が飛ぶ。1日の営業件数を買収前の5倍に増やし、顧客からの見積もり依頼は3倍に増えた。調達部門では複数の取引先から見積もりを取り、3〜5回の価格交渉が原則となった。

24年4〜6月期の売上高営業利益率は10%を超え、前年同期の赤字から転換した。TAKISAWAの原田一八社長は「TOBのインパクトは大きく、社員の決意が変わった」と語る。上昇に転じたのは3期目からだった。4期目にTOB実施年を上回った。「2期目の谷」を越えられるかが買収後の成否を分ける。

「敵」の声は企業がとらわれていた常識を変える契機になる。20年3月に前田建設に買収された前田道路。2期目の後半の22年11月に幹部合宿を都内で開いた。テーマは不採算案件の削減だ。売上高を最重要と考えてきた前田道路の幹部らは「顧客を失う」と反論する。新たな親会社から送り込まれた今泉保彦社長は「できないという議論はもう十分だ。どうしたらできるかだ」と言い放った。ある社員は「会社の『当たり前』が変わった」と話す。工事の売上高総利益は24年3月期に過去最高となった。

スポーツに感動をするのは、強い選手・チームがより高みを目指して努力する背景がある中で、結果として勝利することに共感を覚えるのだと考えておりますが、企業も常に成長を求めて努力をするのが本来のあるべき姿だと思います。またそこで働く社員も成長する企業で働きたいと願っているものと思います。買収による膨張戦略では無く、成長戦略が明確であれば合意が無くとも断行すべき時はあるのだと思います。