家具付きオフィス、新規募集3倍

都市部のビジネス街で間仕切りや会議室が備え付けられた「家具付きオフィス」が急増している。新型コロナウイルス禍からのオフィス回帰で、身軽に拠点を移せるニーズが顕在化。資材高や人件費の上昇で移転コストが膨らむなか、環境にも配慮した職場づくりの新たな選択肢として認知されてきた。と日経記事にあります。

「入居までの期間の短さが決め手になった」。駐車場の契約管理システムを手がけるニーリー(東京・中央)の高橋俊樹最高人事責任者(CHRO)は2年前に移った東京・日本橋の本社オフィスについて振り返る。

同社が選んだのは住商ビルマネージメントが管理する「ハーフセットアップ」と呼ぶオフィスだ。約500平方メートルの1フロアに会議室が4つ、間仕切りの壁やキッチンが備え付けられ、入居前の主な作業は配線工事程度で済む。通常は移転に半年かかることもある中、契約から2カ月で移り、仕事を始めた。

移転直後に約90人だったニーリーの従業員数は現在2倍強に拡大した。採用を増やす中で「ゼロからレイアウトの設計や家具選びをしていては時間も労力もかかる。家具付きオフィスは内覧時から働くイメージが湧いた」(高橋氏)。

家具付きオフィスで、ビルオーナーが内装の設計・施工を担うのがセットアップ型だ。これに対して、前のテナントが使っていたオフィスを引き継ぐのが居抜き型となる。家具や設備は中古だが、賃料は通常のオフィスと基本変わらない。退去時の修繕はテナントが負う分、席配置や仕切りの見直しなどレイアウトを変更しやすい。

家具付きオフィスが増えているのは、資材価格など建設費の高騰で、新築オフィスの賃料が上がっていることが影響する。建設物価調査会(東京・中央)が発表した10月の東京地区の工事原価指数(速報値、15年=100)はオフィスビルが133.6、工場とマンションが133.9と過去最高水準で推移する。

さらに建設業界では4月から時間外労働の上限規制が適用された。施工人員の不足で原状回復や入居前の工事が進まず、数年前に比べて契約から移転までの期間が1.5〜2倍に延びている事例も出ている。家具付きオフィスは本業や採用活動に資金を充てたい企業にとっては費用負担を下げられる。入居するまでの期間も短く済むことが多い。

ビジネスで考えてみますと、ある業界のピンチやリスクが物事の捉え方によってチャンスに変わりうる好例と思います。しかしながらチャンスを掴むには相応の準備が必要でありまして、誰もが掴めるものではありません。時代を読み解く常識力と少しの先見性が必要な事は言うまでもありません。