ゼネコン再編、人手不足が促す

準大手ゼネコンで前田建設工業を傘下に持つインフロニア・ホールディングス(HD)は14日、同業で東証プライム上場の三井住友建設を買収すると発表した。TOB(株式公開買い付け)を通じて全株式を取得する。取得額は約940億円。人手不足が深刻となるなか、建設工事に加え、インフラ運営などのサービスまで手掛ける体制をより強固にする。と日経記事にあります。

両社の単純合算した売上高(24年3月期、インフロニアHDは国際会計基準)は約1兆2700億円。業界順位は長谷工コーポレーションを抜き、大手5社に規模で迫る6位となる。今回の買収を通じてインフラ運営の体制強化を目指す。同社はかねて建設工事に代わる新たな事業の柱としてインフラ運営に着目。国や自治体から有料道路や水道などの運営権を取得してきた。資材高の影響でビルなどの建築工事の売上高は増加するが、景気に左右されやすい側面がある。半面、インフラ運営は安定的な収益を得やすい。

インフロニアHDは三井住友建設の技術者を活用し、アリーナ施設や水道を新設・改修する需要を取り込む方針。施工余力を確保するとともに、工事完成後の維持管理コストまで提案することで案件を獲得しやすくする。現在もなお主力事業である建設工事の底上げにもつなげる。三井住友建設がグループで抱える高速道路や超高層マンションのコンクリート部材を製造する7つの工場を活用する。超高層マンションを短い工期で構築する特許工法も生かす。

三井住友建設側の事情もある。大型複合施設「麻布台ヒルズ」(東京・港)のタワーマンション工事が難航し、大型損失を計上。23年3月期の連結最終損益が2期連続の最終赤字となった。25年3月期の売上高は前の期比3%減の4629億円、連結純利益は79%減の8億5500万円に沈んだ。

業績が苦境となっているさなかに、アクティビスト(物言う株主)で知られる村上世彰氏が関わるとされる企業が株の買い増しを続けていった。現在も3割近くを保有している。三井住友建設の柴田敏雄社長は「(村上氏側から)色々な提案を受け、真摯にコミュニケーションを図ってきた」とし、今回の傘下入りとは関係ないと主張する。ただインフロニアHDによると、同社は村上氏側とTOB応募で合意済みとしている。

人口減のあおりを受け、人手不足は当面続く。国内市場の減少もいずれは避けられないため、今後は中小・零細が中心だった業界内のM&A(合併・買収)が大手・準大手に及ぶ可能性がある。