発注者とゼネコン 立場逆転

「音楽の聖地」として全国的な知名度を誇った複合施設「中野サンプラザ」(東京・中野)の再開発計画が頓挫した。事業主体の野村不動産が、工事を担う予定だった清水建設から約900億円の工事費上積みを提示されたことで計画が二転三転した。19日の中野区議会で計画を白紙にすることが決まった。背景を探ると、大規模工事を巡る不動産デベロッパーとゼネコンの力関係の変化が見えてきた。と日経記事にあります。

野村不動産などは24年7月、東京都に市街地再開発事業の施行認可を申請する。着工に向けて一歩踏み出した矢先、思わぬ相手に足をすくわれる。工事を請け負う予定だった清水建設だ。24年8月30日、清水建設から野村不動産に工事の最終的な見積もり額が提出された。その数字を見て、担当者らは目を疑った。工事費が約900億円も上積みされていたからだ。資材費や人件費の高騰を受けて、約1810億円だった総事業費は見直しを重ねて約2639億円になっていた。さらに900億円上積みされると当初計画比で約2倍の約3540億円に膨らむ。野村不動産は24年9月から詳細な図面を詰める実施設計に着手する予定だったが、採算が合わないのは明らかだった。設備工事費は想定の約3倍、エレベーター工事費は想定の約2倍に達していた。

大規模な工事の場合、清水建設などのゼネコンは「サブコン」と呼ばれる下請け業者から多数の見積もりを取り、全体の事業費を積み上げていく。一般的に発注者に提出する見積書がまとまるまで、1カ月以上かかるとされる。「8月末より前に提示していた見積額は条件付きの金額だった」。清水建設の幹部はこう打ち明け、「段階を踏みながら『この項目の費用は時間がたてば上がります』『着工時点で工事費はこのくらいまで上がるでしょう』という情報を事前にアナウンスしてきた」と指摘する。

資材高騰など工事費に影響するリスクについて、正式な見積もりを出す前から野村不動産と情報共有していたという主張だ。こうした事前のリスクは「おそれ情報」と呼ばれ、建設業界の慣例となっている。

平行線をたどる両社の主張から、大規模工事を巡る発注者である不動産デベロッパーとゼネコンの力関係が大きく変化したことが見えてくる。「これまでは発注者の言い値で工事価格が決まっていた。現在は価格決定の主導権が発注者からゼネコン、さらにサブコンに移りつつある」。デベロッパー幹部はこう指摘する。ゼネコン大手首脳は「超高層ビル向けエレベーター工事の新規発注は30年まで難しい」と指摘。スーパーゼネコンと称される清水建設でも、サブコンに値下げを要求できる状況ではなかったとみられる。

地方である新潟では、ここまでの状況は起きておりませんが、県内でも過疎地へ行くほど人手不足は深刻になっていっていると思います。トップ電工としては、人手不足や資材高騰を価格交渉の材料に使うつもりは無く、お客様の需要に応えられる技術者の数・購買力・設備をしっかり整えて、可能か限り良心的な工事価格でお応えしていきたいと考えております。