丸亀製麺、店長の年収最大2000万円

トリドールHDは17日、うどん店「丸亀製麺」の店長の年収を最大で2000万円にする人事制度を導入すると発表した。現在の最大520万円から大幅に引き上げる。店長の評価基準に従業員の満足度を加え、生成AI(人工知能)を使って測定する。人材不足が強まるなか、業種を超えて優秀な人材を獲得できる環境を整える。同日開いた人的資本経営方針の説明会で、粟田貴也社長は「働く人の幸せを最優先にすることで、商品や店舗に対するエンゲージメント(貢献意欲)を上げる。お客も店に足しげく通ってもらえるようになる」と話した。と日経記事にあります。
新制度では店長クラスを4つの等級に分け、等級を上げるための社内研修や試験制度を整える。まず2025年中に丸亀製麺の6店に導入する。新制度の対象者を3年で300人に増やし、将来的には全店に広げる。3年後には年収が最大で2000万円となる最上ランク「グレート」の店長が10人誕生する想定だ。

店長の評価は店舗の売上高や来店客数のほか、従業員や顧客の満足度を掛け合わせて実施する。従業員向けの調査では、16問程度の質問の内容を音声対話型の生成AIが解析する。例えば「自分の仕事について話すとき、どんな良い点を伝えますか?」などの質問をする。従業員一人ひとりの満足度を測定し、店舗全体の満足度を点数化する。来店者向けのアンケート結果も店長の人事考課に反映させる。
従業員や顧客の満足度、店舗の業績を一覧で示すシステムを12月に実用化し、店舗の最新状況が一目で把握できるようにする。データをもとに改善項目を提案するAIも搭載し、「どのような指数を高めれば、客に満足してもらえて業績が上がるのか、店長に示唆を与えてくれる」(南雲克明執行役員)仕組みだという。新たな評価基準の導入に合わせ、店長の業務を見直す。店舗の従業員が働きやすい環境を整えることを重視し、従業員との1対1のミーティングなどに充てる時間を増やす。従来のシフト作りや発注業務などは副店長らに移管する。

粟田社長は「我々は従業員と客の心を大切にする『心』的資本経営を掲げ、成長のエンジンとする」と強調した。その戦略を現場に普及させる役割を担う店長は「トップとして相応の報酬が必要だ」という。トリドールHDは25年4〜6月期に本業のもうけを示す事業利益が63億円と過去最高を更新した。年収引き上げは中長期的な固定費の拡大につながるが、好調な業績で吸収し、次の成長に向けた人材を獲得できる体制を整える。
トリドールHDの新制度は、単なる給与改定にとどまらず、**「飲食業の社会的地位の向上」や「人的資本経営の具体化」**という観点で社会課題解決に挑む試みと捉えられます。課題は残るものの、もしこの取り組みが成功すれば、外食産業全体に波及し、日本の雇用環境改善の一つのモデルケースとなると感じた記事でした。