未上場「ヘクトコーン」1兆ドル突破 世界6社

評価額が巨大な未上場企業「ヘクトコーン」が世界で6社に達したことが分かった。9月上旬時点で企業価値は6社合計で約1兆4000億ドル(約200兆円)と、日本の国家予算の2倍近くに膨らんだ。22日に米半導体大手エヌビディアが投資を発表した米オープンAIなど生成AI(人工知能)で世界をリードする企業にマネーが流入している。と日経記事にあります。

日本経済新聞が米調査会社CBインサイツのデータや各社発表から集計した。企業価値10億ドル以上の未上場企業を「ユニコーン」、100億ドル以上の場合は「デカコーン」と呼ぶ。技術革新への期待から評価額が急上昇し1000億ドル以上のヘクトコーンが生まれた。世界初のヘクトコーンは2020年に到達した動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の親会社、中国・字節跳動(バイトダンス)で、21年に米宇宙会社スペースXが続いた。

世界的なカネ余りや生成AIブームを背景に、直近1年でAI開発の4社が加わった。勢いがあるのは対話型AI「Chat(チャット)GPT」を開発するオープンAIだ。企業価値は25年3月に3000億ドルに達し、2年で10倍に膨らんだ。現在、投資家と評価額を5000億ドルに引き上げる協議中だ。22日にはエヌビディアから最大1000億ドルの投資を受けると発表した。チャットGPTの利用は世界で毎週7億人まで広がった。25年の売上高は1兆円を超える見通しだ。

スタートアップ投資はAI一極集中が鮮明だ。米調査会社ピッチブックによると、世界の投資額にAI関連が占める割合は22年の2割から25年1〜6月に53%へと上昇した。投資の過熱ぶりはバブルだとの見方も増えている。ヘクトコーンの高い企業価値はごく少数の未公開株の投資家が決めており、株式市場のような客観性を欠く。AI分野は開発費負担が重い。オープンAIなどAIのヘクトコーン4社はいずれも赤字で、半導体やサーバーの調達費用が膨らんでいる。オープンAIのサム・アルトマンCEOは8月に「一部の投資家は大金を失うことになる」と述べた。

ヘクトコーンの登場は未公開市場のマネーが厚みを増し、有力企業ほど上場までの期間が延びていることを表す。グーグルが04年に上場した際の時価総額は250億ドル程度で、その後の成長から幅広い市場参加者が利益を上げた。AIの有力企業が未上場を続けると、価値向上の恩恵は取引に参加できる一部の投資家に偏る懸念がある。

ヘクトコーンの登場は「資本市場の構造変化」と「AIバブルのリスク」という両面を象徴していると思います。経営者目線では、夢のある成長ストーリーに魅了されつつも、調達資金の持続性・黒字化への道筋・市場責任といった基本原則を見失わないことが不可欠と感じた記事でした。