新潟・燕三条のアウトドア各社、再成長へ新ブランド

新潟県燕三条地域のアウトドアメーカーが相次ぎキャンプ用品に依存する事業構造からの脱却に動き始めた。スノーピーク(新潟県三条市)は衣料品の販売強化を狙い複数の新規ブランドを投入する。キャプテンスタッグ(同)は建設業など屋外で作業する職人向けのブランドを2026年に立ち上げる。新型コロナウイルスの収束後にキャンプブームが一服して市場が伸び悩むなか、顧客層を拡大して再成長につなげる。と日経記事にあります。
スノーピークは9月末の戦略発表会で、30年までに衣料品の売上高を年平均成長率で15%超とする計画を明らかにした。中核事業のキャンプ用品より5ポイント程度高い。10月1日に就任した水口貴文社長は衣料品について「スノーピークの軸になる可能性がある」と話す。事業拡大に向けて、著名なクリエーティブ・ディレクターと組んで新たなブランドを立ち上げる計画を立てる。キャンプ用品の機能性やデザイン性を衣料品に落とし込むコンセプトだという。詳細は今後発表するとしつつ「今までの常識では考えられない商品をつくる」(山井太会長)と意気込む。
同社は事業の多角化に向け、2月に魚のロゴマークを入れた渓流釣り専用の衣料品ブランド「Snow Peak Fly Fishing Apparel(スノーピークフライフィッシングアパレル)」の販売を始めた。ベスト(4万3890円)や胴長靴(7万6890~11万9900円)が人気で、25年12月期の売上高は1億円以上を見込む。25年は都会的なデザインの商品を投入し、26年春からは英国の伝統的なスタイルを提唱する製品を展開する。

アウトドアになじみが薄い層も取り込むため、24年9月からはライセンス契約を締結している韓国の衣料品メーカー、感性コーポレーションの製品の販売を日本で始めた。自社企画品より機能性は劣るが、日常使いしやすいデザインで価格を抑える。半数がレディース製品で、今までメンズに偏重していた課題も緩和した。25年12月期の売上高は3億6000万~3億7000万円を見込み、衣料品事業の成長を先導している。
キャプテンスタッグは、26年2月に新ブランド「CS+(シーエスプラス)」を立ち上げる。コーナン商事の「コーナンPRO」やコメリの「コメリPRO」など、ホームセンター大手が職人向けの工具や資材を扱うプロショップの店舗数を増やしている状況を踏まえ、プロショップ側から要望があった高機能品の開発に特化する。定番の鹿のロゴマークは外し、カラーリングも黒で統一することで従来品との違いを明確にする。
両社ともに「キャンプ依存からの脱却」という目的は同じですが、スノーピークは “ブランドを武器に新市場へ攻める” 攻撃的戦略。キャプテンスタッグは “既存販路の要望に応じ堅実に拡張する” 防御的戦略。経営者としては、自社の財務体力やブランド資産の強弱に応じた最適解を選んでおり、燕三条地域のメーカーがそれぞれ異なる進化パスを描いている点が非常に興味深いと感じました。